観光客も多く訪れ、特に景観法にも厳しい京都市内祇園。風情ある街並みを残していくために古い建物の味わいや外観を維持しながら、後世も住み続けられるような住まいが求められていますよね。ご紹介するのはそんな昔ながらの長屋を新たに建て替えられた住まいです。NESTが手掛けるこちらの「祇園の家」は、祇園の華やかな町並みから程近い場所にある路地に建つ簡素な住宅です。建て替えられたといっても、大きく異なるファサードではなく、簡素でそっと建つような物静かな佇まいを感じることが出来ます。建坪は8坪に延べ16坪のコンパクトハウスはしっとりと住まうことのできる心地のいい住空間が広がっています。
敷地があるのは京都市東山区内にある祇園、多くの観光客をひきつけるこの街並みの一角に建つ本住宅。華やかな通りの路地へと進むと見えてくる外観は、大きなフォルムは周囲へと溶け込みながらも、ファサードを印象づけるのは真っ白な人の背ほどの外壁かもしれません。簡素でありながら特徴的となった個性を感じるデザインです。
リビングスペースは外観正面に見た白い塀の裏側に位置しています。白を基調にした板間のリビングはシンプルながらも、白い外壁を伝ってこぼれてくる自然光の明るさを感じる心地のいい空間です。外部からの視線を遮りながらもどこか人の声の届く周囲の気配を感じることが出来ます。
日が落ち室内の照明が灯ると温かみのある暖色の光に包まれるリビングスペース。一つの照明が空間を照らすというよりも、足元を照らす間接照明や勾配天井の奥行きを感じさせる柔らかな照明によって空間の広がりを感じながらも、心地のいいリラックスできる居場所を愉しむことが出来ます。二階部分へと繋がる吹き抜けにはインナーウィンドウも。二階にいる家族の気配を感じることが出来ます。
階段をのぼって上階へと進むと徐々に広がっていく視界と奥行きのある住空間。まるで立体的な廊下のように各室を繋ぎ、それぞれのスペースへとダイレクトに接しています。上下階、分節されたような空間はちょっぴり個性てきな階段デザインによって上下階を緩やかに繋いでいます。
最上階スペースはちょっぴり籠れるような空間に。梯子をつたって上りきると天井には太陽の日差しをダイレクトに味わうことのできるトップライトのある明るい空間です。フロアの一部は日の日差しを通す格子状のデザインに。ロケーションによって建物のサイドに大きな開口が設けられなくとも、トップライトからの日差しを下階へと届けられるアイデアによって自然光を感じられる心地のいい住まいが叶えられます。