京都に佇む家

Michiko JUTO Michiko JUTO
西陣の家, 村松英和デザイン 村松英和デザイン Eclectic style dining room
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建築計画において何より大事なのはバランスをとることではないでしょうか?立地から始まり構造面はもちろん空間を構成する表層的なマテリアルやモノそして時間といったノンフィジカルな要素まで対象として含まれてきます。 今回紹介するのは趣きのある京都の町に建てられた住宅です。建築家村松英和氏が提案する木造の暖かみと優しさを活かした30代後半のご夫婦と二人のお子さんのための住宅、さっそく見てみましょう。

控えめで上品な外観

夜間の外観です。上品な色合いの外壁が京都の町にぴったりですね。窓の十字のオーナメントが和モダンな雰囲気を作っています。様々な要素を削ぎ落としながらもシンボリックなエレメントを加えることで巧みなデザイン性が表れています。

受け継がれる生活の道具やモノ

ナチュラルな明るめのフローリングとシンプルな白い壁で構成されたダイニングにはクライアントがご両親から受け継いだテーブルと椅子のセットが置いてあります。塗装のみのリペアを施したそのダイニングセットは程よいアンティーク感のあり、木造のモダンな家にうまく調和しています。

工業的な素材も木造住宅のモジュールにぴったり

キッチンは機能性に優れたオールステンレスを採用しています。時代を経てこの住宅に仲間入りしたダイニングセットと対照的なイメージですが、全く異なる素材とスタイルを組み合わせることでよりお互いを引き立てる役割もするのです。

設計の工夫でより豊かな生活空間を

キッチンの頭上には天窓を設け、採光を十分に確保しています。木のルーバーが生み出す影が空間に変化をもたらします。木造ならではのヒューマンスケールに合った住みやすい家ができました。

モノを大事に使う姿勢を学ぼう

愛着のあるものに手を加えながら長く大事に使うという姿勢は現代の大量消費社会では大事になってきています。少量でも自分にとって価値あるモノを毎日の生活に取り入れたいものですね。

壁の色調を合わせることで内外空間の連続性を強調

ダイニングキッチンから続くリビング空間です。そしてリビングからはテラスにアクセスできます。テラスの外壁にもリビングの紺色と同色を使う事で内外をまたいだ連続性が生まれ、より空間に広がりをもたせています。

新旧のエレメントを組み合わせる

京都のイメージにぴったりの古色っぽい濃紺の壁がアクセントになっていますね。メンテナンスの楽な新建材と古いエレメントをバランス良く取り入れて心地よい空間づくりがされています。

建具の工夫

天井から吊った開口のおかげですっきりとした壁面です

懐かしい空間作りは本物の素材で

2階は和モダンのテイストをふんだんに盛り込んでいます。テイストの新旧のみならずクラインとの思入れのある既存建物で使われていた古建具を取り入れて新旧のバランスをとった空間作りをしています。ガラス板付きの建具と細長く延びる廊下に懐かしさを感じませんか?

障子の効果

京都には古い住宅もまだまだ残っていますが、新築も増加しています。和室は現代のライフスタイルやテイストに合ってない、と思わずに是非取り入れていただきたい居室です。洋室にはないそのフレキシブルな利便性をきっと見直すことができるでしょう。障子を通して入ってくる柔らかな光りが演出する空間は特別な趣きがあります。

光の演出

2階の廊下からに設けられた光る床面は前述のキッチン頭上の天窓でした。夜になると逆に下からの照明によって木製ルーバーがリズミカルなパターンを生み出す鮮やかな空間に変わります。障子や木枠の建具と共に構成する新旧のバランスが快適で心豊かな生活を提供してくれます。

一緒に年を重ねる木造住宅

住めば住むほど味の出てくるような木造住宅だと思いませんか?自然素材と新建材の長所をうまく取り入れ、手を加えたり直したりしながら年を重ねていき、住む人の心に残るような京都の家、日々の小さな幸せを実感できそうですね。

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