のどかな田園風景の広がる場所に計画されたモダンな平屋建ての住宅を紹介します。ARC-Dが手がけたこの住まいは、周辺環境に向って広がる様々なボリュームが集まり、お互いは土間で繋がる変化に富んだ住空間が魅力的。クールでスタイリッシュな内装も見逃せません。ではさっそく見てみましょう。
まだ田畑の残るのんびりとした集落にある敷地の周りには新旧入り交じった住宅が点在しています。ご覧のように遮るもののない開けた敷地に計画されたのは、閉じたデザインの3つのボリュームがイレギュラーに連なるユニークな建物。圧迫感を軽減し、周囲の街並みに馴染みやすい佇まいを見せています。「三角形の敷地に建つ3つの箱が連なる家」も連なる形態によって変化に富んだ住空間を形成。是非ご覧ください。
角度を持たせた形態によって開口から眺める風景も微妙に違ってきます。基本的に黒い外壁を採用していますが、軒下やテラスの周囲の壁を白くすることで、軽さと明るさを加えていると共にメリハリのある外観を作り出しています。緑の芝生が気持ち良い庭を通るアプローチを通って玄関へ。
温かみのある木製の玄関ドアを入ると内部は真っ白な空間です。玄関ホールは大判のタイルを敷き詰め、洗練された雰囲気を醸し出しています。造作で設えたシンプルな木の棚や観葉植物が優しさを添えたエントランスです。
庭に面したボリュームの中にまとめたLDK。モノトーンで統一したインテリが外部ののどかな田園風景とは対照的でより引き立ちます。角度のある平面に沿って通り土間を設け、それぞれのボリュームを繋げると共に外へ抜ける視線に多様性をもたらしています。土間空間には存在感のあるとびきりお洒落な薪ストーブを配置。
通り土間を介して隣のボリュームが見えます。壁面の色を天井と変えることで入れ子構造のような奥行きを強調。壁をくり抜いたような開口と段差が緩やかな領域を作り、繋がりながらそれぞれの場所が独立し、同時に家族もそれぞれの居場所にいながらもお互いの存在を感じられるような住空間になっています。
キッチンとダイニングを隔てる黒い垂れ壁と袖壁がアクセントになっています。アイランド型の機能的なキッチンの背後には便利な壁付けの収納を設置。木の素材によるダイニングセットを組み合わせ、クールモダンな空間に温かみを添えています。
キッチンからの眺めです。奥の玄関ホール、段差のある子どものための空間、そして通り土間が伸びて行く通路の先にある開口から視線が抜けていく大変開放感のあるプランです。複雑に入り交じるボリュームの隙間から外の環境に繋がる閉じながらも広がりを感じさせる不思議な住まいですよね。