様々なつながりを生む家、3世代のための住まい

Michi Koba Michi Koba
紡ぐ家 ~3世代の住まい~, 山道勉建築 山道勉建築 Asian style house Wood Wood effect
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今回ご紹介するのは築80年あまりの住宅を建替えたお家。家族3世代のための住まいです。歴史あるお家はその分住人の思い入れも強く、また風景としてもその場所になじんでいるため、その痕跡、存在感をすべて消して建替えるのは残念なことですし、それを望むクライアントも少ないでしょう。こちらのお家を手掛けた山道勉建築は「家の歴史とのつながり」、「家族(世代)のつながり」、 「地域とのつながり」を、多角的 にとらえ、また、「3世代がひとつの家で共に過ごすこと」をじっくり見つめることでこのプロジェクトを完成させました。では詳しく見て行きましょう。

​深い軒と格子戸が印象的な外観

立地は竹林の山を背に、南側に棚田を望む里山の中。玄関部分は南側に位置しています。のびやかな深い軒と木格子が印象的な立面です。アプローチ部分には石畳、古瓦が使用され、訪れる人をゆっくり家の中へといざないます。周辺環境に馴染み、まるで昔からそこにあったかのような、落ち着いた雰囲気の外観です。

​空間も人もつなぐ濡れ縁

内外空間をゆるやかにつなぐ日本古来からの建築要素である縁側。季節の移ろいを感じ、リラックスした時間が過ごせる場所でもあり、家族が触れ合える場所でもあります。また縁側は家族のためだけでなく、近所の人とのつながりも生まれる場所。こちらのお家では深く伸びた軒下に濡れ縁が設けられています。美しい景色を望む、明るく広々としたこの縁側でなら楽しい会話も弾むに違いありません。空間も人もここでつながることができるのです。

​風景をとりこみ、風景とつながる和室

南側に大きく開口のある和室。天井部分には緩やかな勾配があり、その先には深い軒、縁側が広がります。前面に広がる庭、またその先の棚田の景色を一望できる贅沢な場所です。東側の壁には全面に構造を利用した造り付けの棚がしつらえられており、機能面でも優れています。そしてこの壁にも小さな開口があり、切り取られた風景が絵のように映ります。風景ををとりこみ、周辺環境とつながることがここでも意識されています。

​思い出と家を支える古梁

こちらはリビングより、和室、ダイニング、2階吹き抜け部分を望んだ様子です。3世代の家族が出会う場所であるといえるでしょう。洋間、和室がつながる空間ではありますが、素材、雰囲気に統一感があり、違和感のない調和のとれた居心地の良い空間となっています。そしてこの空間でまず目に飛び込んでくるのが風情のある梁。こちらは長年母屋を支えてきた敷梁を再利用したもので、旧家での歴史を次の世代に伝えています。やはり古材には新しいものには出せない重み、趣がありますよね。思い出を伝えるだけでなく、空間の素敵なアクセントともなっています。

​家族の中心は家の中心

ダイニングルームでも床、天井を中心に木、自然素材がふんだんに使われ、温かみのある空間となっています。ここは家族が集まり食事する場所。それは今も昔も変わりません。その「家の中心」では旧家の大黒柱が家族を見守ります。梁同様さりげなく使用されている古材ですが、その存在感は格別です。また、このダイニングルームは北側の庭に面しており、障子を開ければ眺めを楽しみながら食事をすることもできます。そして写真のように障子を閉じれば柔らかな光に包まれた心地よい空間が広がります。

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