木の温もりに包まれる、建築家の自邸

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衣笠山の家(自宅), 豊田空間デザイン室 一級建築士事務所 豊田空間デザイン室 一級建築士事務所 Eclectic style dining room
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今回ご紹介するのは建築家として活躍する専門家が建てる木の家です。その道のプロが考える、住空間はどんな工夫が施されているのでしょうか。建築家が建てる自邸はどんな視点で空間づくりを行なっているのでしょうか。普段見ることのできない、そのプロセスをじっくりと見てみましょう。こちらは豊田空間デザイン室一級建築事務所の主宰でもある、ご本人のお住まいです。京都市内の情緒ある場所に敷地を選んだ本住宅は、木材を惜しみなく用いた、木の温もりと香りが溢れる、優しくおしゃれな空間です。自然体で京都の街並に協調するようにと細かな配慮の行き届いた繊細なデザイン。普段気づかないような意外なポイントがあれば新たな住宅を建てるときの大きな参考になりますよね。

木格子のモダンな外観

景観地区ともあって少し制限の多い地区に建つ本住宅。その構えは伝統的な町家のスタイルにシンプルに千本格子の木柵で覆われた和モダンな外観。サッシや外壁の色などの細かい規制も組み合わせや、魅せ方でしっくりと落ち着きのある上品な構えです。

木のスリットで囲うフリースペース

ここは住宅の中心に位置するフリースペース。二階の高さに位置するこの空間は空間を隔てる吹き抜けにスノコのブリッジを渡ってアプローチするという仕掛け。空間にアクションが生まれる仕掛けのように、生活空間が面白くなりそうですね。フリースペースの目隠しには目の細かいスリット格子。これなら、通風や採光を完全に遮ることなく快適な住環境を確保することができます。

万能!無垢板の大きなダイニングテーブル

ダイニングスペースを陣取るのはタモの無垢板で設えた、長さ3.5mのダイニングテーブル。大人数での食事はもちろんの事、ミーティングやワークスペースに家事など広々と使う事が出来ます。壁面に据え付けられた杉板のベンチも負けじと、約4.5mほどの長さがあります。もちろん下部にはたっぷりの収納スペースに。テーブルもベンチも共に通常より30㎝程下げることにより、目線の位置を落としながら、トップライトのある高天井の雰囲気も相まって、落ち着きとゆったり過ごすことが出来るよう、工夫が施されています。何よりも住まう人が一日の中で最も過ごす場所なのだそう。

土間ギャラリーと大階段のある空間

本住宅には玄関と呼べるスペースがありません。その代わりに、広々とした土間を通って室内へと進むことができます。その土間を進むとあらわれるのは、土間からダイレクトに幅が2.7mもある大きな階段のあるスペース。この大階段は階段という機能だけでは無く、その広さ故多目的に活かすことができます。もちろん、隅に本を並べればすぐに手に取って、その場で座って読むことも出来ますし、置物や趣味のものを飾る事も。使い方に多様性を持たせることも大事な住まい造りのヒントかもしれません。

集中力の高まる、大型収納の書斎

一階スペースに設けられた書斎の為の空間。他の階と比較すると天井の低い空間ですが、作業など集中力を必要とする空間には適しているのかもしれません。両脇に可動式のフレキシブルにスペースを確保することのできる大型壁面収納を設置。手の届く距離に多くの資料や本などが備わっているのはかなり便利。正面は北側の開口に向かって柔らかい採光のもと括り付けのテーブルに掘り炬燵式に座ることができます。足元を優しく暖めてくれる暖房設備も備わり、時間をわすれて過ごしてしまいそうです。

木で造る造作キッチン

木素材の気持ちいいアイランド型の造作キッチン。ダイニングスペースから一直線に繋がる家事動線もスムーズな配置。シンプルにスッキリと大容量という三拍子がそろったような、理想のキッチンです。見た目にもその木目の柔らかさは使い心地も抜群なはずです。北側に面したキッチンですが、大きな開口からの優しい光で手元もちょうどいい明るさが確保されています。建築家の住まいは、やはり住宅と環境のバランスを上手に汲んだ空間が生まれるものですね。適材適所をマッチさせることができると、住空間はより快適なものになるのかもしれません。

イメージを細かく吐き出す

住まいづくりには欠かせないイメージ図。とにかく頭の中のイメージを出来る限り書き出す、伝えるといった作業は一番大切な事かもしれません。理想の住まいを築くには、絵の上手い下手は置いといて、とにかく書き出すことが近道かもしれないですね。

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