今回紹介するのは松井建築研究所が手掛けた、都心の小敷地に建てられた事務所併設住宅です。道路から見えるのは硬いコンクリートに閉ざされたファサードのみ。しかしその内部は中庭に開かれたガラスの大開口部を持つ開放的なオフィスと、和モダンなインテリアがクールな住居スペース。屋上テラスでは紅葉も楽しめるとか… 。さっそく見ていきましょう!
都心の密集地において建物をコンクリート造とするメリットはたくさんあります。近隣住民以外にもたくさんの見知らぬ人間が行き交う都市部において、閉じられたファサードはプライバシーを守り、また耐震、耐火、防火そして騒音にも強く快適な内部空間を実現します。
内部はご覧の様に中庭に向けて一面がガラスの壁となっており、とても開放的なデザインです。閉じられたファサードとは正反対でそのギャップに驚かされますね!1・2階に事務所を設け、3・4階が住居スペースとなっています。通勤時間ゼロで出勤が可能。通勤ラッシュのストレスもありません。
エントランスを入るとまず吹抜けの大空間がゲストを迎えます。中庭からさんさんと自然光が差し込み、豊かな色と質感を持つ木材がドアやテーブルに使用された、温かみと穏やかさを感じるインテリアです。コンクリート打ちっぱなしの壁は硬く冷たい印象を持たれることが多いですが、こうして天然素材と組み合わせることでお互いの魅力を引き立て、よりモダンでスタイリッシュなインテリアが完成しました。こんなおしゃれなオフィスで働きたい!と思わせる魅力に溢れています。
こちらは住居スペースである三階のLDKです。こちらも天井から床までコンクリートですが、キッチンやダイニングテーブルセット、ドアなどを共通した木材で作ることで温かみがあるモダンでエレガントな空間となっています。装飾は最低限に抑えることで空間が成熟した大人らしい落ち着きのある雰囲気となっています。リビング側の窓には障子が設置され、和のエッセンスをプラスして。障子を通した柔らかい光でコンクリートの壁も優しい表情に変わります。
最上階の四階にあるバスルームは打って変わってヒノキ造りです!大きな開口部とガラスの壁で開放的に気持ちよく入浴できます。南と西に庭があり、青い空と植物を眺めながらの入浴はまるで露天風呂気分です。都会の夜景を眺めながらの入浴も贅沢な気分に浸れそう。
庭のある屋上テラスには、仕事の疲れも一気に吹き飛ぶような青く大きな空が頭上に広がっています。赤く染まるモミジに季節を感じて、都会の喧噪も忘れそうな心地良い空間ですね。
閉じられたファサードからは想像もできない豊かで穏やかな空気をまとった住宅でした。